「ミぃ〜カエルぅ〜〜!」

 

はぁ…。今日も今日とてノエルが僕を呼んでいる。

 

 

「そこ!パパの腕は私の指定席でしょ、お退きなさい」

「え!今日、はじめてパパに抱っこしてもらったんだけど」

「あら?私の、このノエルの言うことが聞けないのかしら?泣くわよ…?いいのね?いくわよ…」

「す、す、すみません!どきます!」

 

『アンドレ、もう限界だ。ノエルがぐずりだした。』

『まったく、しかたがない。ミカエル、ママに抱っこしてもらえ。…よしよし、ノエル。いい子だ。』

 

確かにパパの抱っこのほうが気持ちいい。ノエルがパパの抱っこが好きなのは重々承知。でも、僕だって!

 

『ミカエル、お前は男だ。もう少ししたら剣を教えてやるからな。楽しみにしていろよ。』

 

…別に…。

ママから剣を教えてもらうことがいやなわけではない。でもさ…。

今の僕にはそう少しだけ、パパの抱っこが欲しかっただけなのに。

 

『しかし…。ミカエル。お前は偉いな。いつもノエルに譲って。』

 

偉いわけではない。ノエルがワガママなだけなんだ。

 

『ここだけの話だがな…。きっとお前は…とうさまに似て、いい男になるぞ。優しくて気配りがきいて力持ち。ちょっとシンプルすぎるのはどうかとも思うがな。』

 

僕はパパに似ているんだ。そしてそう…。おそらく。

 

『だがなんだな。ノエルは少しわがままなんじゃないか?』

『どうして?』

『お前の抱っこを独り占めだ。』

『なんだ?ノエルにやきもちか?』

『ふん!』

『あとでゆっくりな。』

『絶対だからな。』

 

…結局…。僕の出番はない。きっと、僕はパパに似て我慢強い男子なるのだろうな…。

 

「あったりまえじゃない!」

双子だけにノエルは僕の心が読めるらしい。ノエルの声が僕の耳にまるで教会の鐘のように反響している。そして!“やつ”はパパの腕の中で眠りやがった!

 

きっと僕のこれからの人生は双子の兄弟、ノエルに仕切られるに違いない!

 

あぁ…!

儚かった僕の人生…。













かりめろさまから頂いた天使シリーズ第2弾です♪
生まれる前も生まれてからも虐げられるミカエルくん。
頑張れ、きっと君にぴったりの優しい女性が現れる…(^o^)。
でも、もし母親や妹に似た人を好きになっちゃったら…。
父親そっくりの人生だわ…♪
かりめろさま、ありがとうございました。  さわらび



 

天使のぼやき

(2)