このような小部屋をよく発見してくださいました。
「毒をもって…」のその夜の二人の会話です。
「おい、今日のあれはなんだったのだ?」
「…?」
「とぼけるな。司令官室でのあれだ」
「なんのことだかさっぱり…」
「わたしがジョゼ姉あての手紙を見せたときの反応だ」
「絶賛したと思うが…」
「そのあとだ。いつもなら絶対しないことをしたぞ」
「いつもしていることだろう…」
「ちがう。ここでではない。司令官室でだ。馬鹿!はなせ!」
「場所がかわるのもたまにはいいじゃないか」
「たまにではなかった。初めてだ。何かおまえを不安にさせることをわたしがしたか?」
「いや。何もしていない」
「では、おまえがひとりで勝手に何か思いこんだのか?」
「まあ、そういうところだ」
「吐け」
「別に悪いものを食った覚えはない」
「しらばっくれるな。胸の中はドロドロのはずだ」
「確かに…」
「だろう。吐け」
「だが、あの時点で浄化された。もう大丈夫だ」
「おまえが大丈夫でも、わたしの後味が悪い」
「おまえこそ何も食ってないじゃないか」
「あのとき、おまえに食わされた」
「何を?」
「毒だ。耳から毒を盛られたハムレットの父親のような思いだ」
「…!!」
「アンドレ?おい、大丈夫か?本当に毒を食ったような顔だぞ」
「あ…あ。いや、ちょっと…な。やはり気分が悪い」
「急にどうしたのだ?」
「オスカル、すまん。今日のあれをもう一度してもいいか?」
「…。ここでならな」
「恩に着る」
「そのかわり白状しろよ。あっ…。おい、こら。あのときはこんなことまでしてなかったぞ!おい…!」
fin
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